クラッチは前軸の動力を後軸へ「伝達」したり「遮断」したりできる装置なのですが、その必要条件を失ったりと不具合が発生します。
<ダンパースプリングの損傷・衰損>
ダンパーラバーとも呼ばれ、
クラッチディスクに取り付けられたスプリング(ゴム)によって「回転方向」の衝撃を吸収します。
クラッチディスクにあるダンパースプリングに「ガタ」「衰損(ヘタリ)」していると、クラッチディスク本体が「ジャダ(振動)」を発生させたり、「カタカタ」発生の原因となります。
半クラッチ操作中の「ジャダ(振動)」や、クラッチが突如繋がるなどの「しゃくり」が発生します。
半クラッチ操作を行わず、クラッチを一気に繋げるなどの操作を多用していると、ダンパースプリングの「損傷」「衰損(ヘタリ)」の原因となります。
<クッションプレートの衰損>
クラッチディスクをサンドイッチするように内部に組み込まれたクッションプレートです。
クラッチ接続時の「軸方向」の衝撃を吸収します。
クラッチを繋げた時の「ジャダ(振動)」、特にクラッチが突然繋がるなどの「しゃくり」の原因になります。
半クラッチ操作を行わず、クラッチを一気に繋げるなどの操作を多用していると、クッションプレートの「衰損(ヘタリ)」の原因となります。
<クラッチディスクの摩耗>
クラッチディスクのフェーシングには適度な摩擦係数(半クラッチのため)が求められていることから、他のクラッチに比べ消耗スピードが早いです。
クラッチディスクの摩擦面(フェーシング)が摩耗してくると、
エンジンの動力を100%伝達できい「滑り」が発生するため、「加速不良」「車速の低下」による「
燃費悪化」が起こります。
<スプラインの段付き>
クラッチディスクが接続されている
トランスミッションのスプライン部が「段付き摩耗」してしまうとクラッチディスクの動きが悪くなり、クラッチの「切れ不良」の原因になります。
<クラッチカバーのスプリング衰損>
プレッシャープレートを押すスプリングが衰損(ヘタリ)してくると、クラッチディスクを
フライホイールに押しつける力が弱まることから、クラッチの「滑り」が発生してしまいます。
<フライホイール表面の偏摩耗>
フライホイール表面に「すじ状の摩耗」「偏摩耗」があると、クラッチディスクの圧着力が低下して、クラッチが「滑る」原因になりかねません。
<レリーズベアリングの異音>
クラッチを切る(動力を切断する)のに、回転している
クラッチカバーのスプリングを安全に押すための部品です。
レリーズベアリングが「損傷」「摩耗」してくると、ベアリングから「シャー(ジャー)」と異音が発生することがあります。
クラッチペダルに足を置いたままにしていると、あらかじめ調整されている「遊び」の意味がなくなり、レリーズベアリング「摩耗」「損傷」の原因となります。
<クラッチペダルの遊び>
クラッチペダルの「遊びが大きい」と、「クラッチの切れ不良」が発生し、
シフトチェンジの際に「ガリガリ音」が発生します。
クラッチペダルの「遊びが小さい」と、クラッチディスクの圧着が低下して「クラッチが滑る」原因となりかねません。
<クラッチ点検方法>
クラッチを踏みこんだ状態で軽く
アクセルを踏みます。
この時にリバースギヤにシフトチェンジを行い、「ガリガリ」と異音がすると、クラッチの切れ不良となります。
これは、クラッチが正常に切れていればエンジンの回転上昇によるトランスミッション内の
ギヤ回転が上がることはありません。
そのため正常にシフトチェンジはできるのですが、クラッチ切れ不良だと、エンジン回転数上昇によるトランスミッションギヤ回転も上昇することで、シフトチェンジできないことを確認しています。
安全な場所で
サイドブレーキを引き、ギヤをトップに入れます。
エンジン回転数を上げ、クラッチを徐々に繋げていき、正常であれば車はエンストします。
この時、エンストせずにエンジンが回転を続けると、クラッチが滑っています。
停車状態からクラッチを一速に入れ、
アクセルペダルを踏まずに徐々に繋げていきます。
このとき車が異常振動や、異常発進をしたときには、クラッチディスクの回転が振れている場合があります。