ドライバーによって周期は違うものの
タイヤ交換の経験はあるはずです。
ホイールからタイヤを外し新品のタイヤに組み替えた後、組み替えたタイヤ・ホイールを機械に取り付けて、クルクルと回転させている姿を見たことは無いでしょうか?
これがタイヤとホイールのバランスをとるために振れを調べてくれる、「ホイールバランサー」という機械です。
このホイールバランサーに表示された位置に「バランスウエイト」を取り付けることによって、タイヤとホイールのアンバランス(振れ)を最小限に抑えることができるのです。
この作業を「ホイールバランス調整」といい、タイヤを新品に交換した際に必ずといっていいほど行われる作業です。
<ホイールバランス調整の必要性>
タイヤとホイールを見ると綺麗な円を描いているように見えますが、実はそうではありません。
タイヤは、場所によってゴムの厚みが微妙に違っています。
また繋ぎ目もあることから、いびつな形をしています。
保管方法にしてもディーラーやカー用品店など各々の店舗で違い、ゴムなので保管方法一つで変形してしまいます。
ホイールは、同じバランスの物を作るのは難しいとされています。
タイヤほどアンバランスな造りでないにしろ、微妙に寸法が違います。
寸法が狂うとバランスが変わってきますし、それによってホイールの剛性にも変化がでてきます。
タイヤとホイールのアンバランスは製造工程上どうしても仕方ないことですが、微妙なアンバランスとはいえこの2つが重なり合うと、ドライバーに不快感を与えるだけではなく車に悪影響を与えてしまうこともあります。
これらを取り除くためにホイールバランサーという機械を使い、極力タイヤとホールを組み付けたときの「はめ合いを目検」で、「アンバランスをバランスウエイト」を取り付けることで取り除いているのです。
(余談※1)
<ホイールバランス調整方法>
上記に記載しているホイールバランス調整方法のことを指します。
ホイールバランサーにタイヤを組み込んだタイヤホイールを取り付け、ホイールバランサーにタイヤホイールの情報を打ち込みます。
スタートスイッチを押すとタイヤ・ホイールがクルクルと高速回転を始め、停止すると、どの位置がアンバランスで、どのぐらいの重り(バランスウエイト)が必要か教えてくれます。
あとは指定された位置にバランスウエイトを取り付け、確認のため再度回転させれば終了です。
車にタイヤを装着した状態でタイヤ・ホイールのバランスチェックをします。
オフ・ザ・カーで取り除くことができなかったアンバランスを、「ハブ、ハブナットの締め具合」、「ホイールの取り付け位置」などで調整していきます。
アライメント調整、ホイールバランス調整で取り除くことができなかった
ハンドル(ステアリング)の振れ等のアンバランスを、オン・ザ・カーでは取り除くことができると聞いたことがあります。
しかし整備料金が高額となるため、よほどのことでなければオススメすることはできません。
<バランスウエイトの種類>
バランスウエイトとして使われる重りは大きく分けて2つあります。
ホイールのフランジ部に打ち付けて使用するバランスウエイトです。
鉄ホイール用とアルミホイール用があり、バランスウエイトの形と合い口のサイズで判断します。
打ち付けタイプの利点は、バランスウエイトを打ち付けて取り付けるので簡単には外れないことです。
片側がテープになっている貼り付けるタイプのバランスウエイトです。
打ち付けタイプのバランスウエイトが使えないアルミホイールに使用したり、社外品のアルミホイールに使用します。
貼り付けタイプの利点は、バランスウエイトが目立たなく、デザイン重視のアルミホイールを取り付けている方は貼り付けタイプを好みます。
貼り付ける前にパーツクリーナーで
ブレーキダストなどの汚れを取り除くのですが、それでも貼り付けタイプのバランスウエイトは徐々に粘着力が低下して外れることがあります。
(余談※2)
<ホイールバランスが狂うことによる不具合>
タイヤ・ホイールのバランスが狂うことで、以下の不具合が出てくることもあります。
しかし全ての車種、全てのドライバーにあてはまるわけではなく、ドライバーによっては「気づかない」「気にならない」といったこともあります。
50〜60キロ程度で、ハンドルがブルブルと震えるシミー現象。
タイヤ・ホイールバランス調整で改善されることが多いです。
車体やシートが小刻みに振動する現象。
タイヤ・ホイールバランス調整で改善されることもありますが、長期間の駐車でタイヤが変形していたり、タイヤが偏磨耗していると起こります。
タイヤの変形はある程度走行すると直りますが、偏磨耗は最悪タイヤ交換をしなければ車体の振動が取り除けない場合があります。
「ホイールバランス不良」や「アライメント不良」で走行を続けた結果、タイヤの一辺だけが磨耗して均等に減っていかない現象。
上記の低速時のハンドルのブレ(シミー現象)とは違い、高速走行時のある一定の速度区間のみハンドルが震えだし、その区間を越えたり下回ったりすると振れが収まる現象。
タイヤ・ホイールバランス調整で改善されることが多いですが、これで治らない方で何件ものディーラーやカーショップ、タイヤ屋さんを回ることになるドライバーもいます。
どうしても気になって仕方ない方は、「オン・ザ・カー」のタイヤ・ホイールバランス調整に頼んでみるのもよいかもしれません。
<ホイールバランス調整が必要となるタイミング>
ホイールバランス調整は「走行距離」や「年数」など定期的に行うものではなく、特定の整備をしたときや「運転中に不具合」を感じたときに行います。
タイヤ交換をしたらホイールバランス調整をしてもらいましょう。
「フロントタイヤだけ」なんて話を聞いたりしますが、交換したタイヤ全てのホイールバランスを調整するのが基本です。
タイヤローテーションをした時にもホイールバランス調整が必要となります。
タイヤを新品に交換しときにホイールバランスを調整しているのですが、タイヤローテーションも定期的に行うのではなく、前後差が大きくなったときにタイヤローテーションを行います。
そのため新品時に調整したホイールバランスにも多少の誤差が出ていることがあるため、ハンドルの振動などの不具合が出る前にフロントに持ってくるタイヤのホイールバランス調整を行います。
「車の振動」や「ハンドルの振れ」を感じたらホイールバランス調整をするのも不具合解消の手段です。
その他のタイヤに関する不具合解消にホイールバランス調整は、一番安くて簡単です。
<タイヤ・ホイールバランス調整での手抜き整備>
アルミホイールへの打ち付けタイプのバランスウエイト取り付けは、「合い口のサイズ」とアルミホイールの「フランジ部のサイズ」が合っていなければ、ホイールに「キズ」、もしくは「凹み」を作ってしまいます。
バランスウエイトが付いているときはキズも目立たなく問題ないですが、次にホイールバランス調整やタイヤ交換をしたときにバランスウエイトを外すと、そのキズが目立ってしまいます。
アルミホイールではそのようなことが起こるのに、バランスウエイトの合い口サイズチェックをしない。
もしくは無理やりバランスウエイトを打ち込むなどの手抜き行われることがあります。
社外品のアルミホイールに使われる貼り付けタイプのバランスエイトは、片側の両面テープによる固定となります。
そのためテープの粘着力だけで、バランスウエイトをつけなければなりません。
貼り付けタイプのバランスウエイトを使用するときは、パーツクリーナーでブレーキダストを拭き落としてから貼り付けるのが基本となります。
しかし清掃をせずにバランスウエイトが付いている状態を作るため、そのまま貼り付けるという手抜きが行われます。
これでは走行中などで簡単にバランスウエイトが外れ、「ハンドル振れの原因」、「タイヤの偏磨耗の原因」となりかねません。
前後のタイヤの位置を組み替えるタイヤローテーションは、タイヤの磨耗と共に徐々にホイールバランスが狂ってきます。
そのためハンドルの振れなどの不具合となりやすい前輪タイヤは、タイヤローテーション後にはホイールバランス調整をしなくてはいけません。
しかし「作業時間がない」「ホイールバランサーが遠い」「ホイールバランサーが混みあっている」「めんどくさい」などの理由から、前輪のホイールバランス調整を行わない手抜き整備士がいます。
タイヤ交換後はホイールバランスがリセットされ調整されていない状態なので、ホイールバランサーでタイヤを回転させ「タイヤとホイールのはめ合いを目検」でチェックし、「アンバランスをホイールバランサーで調整」しなくてはいけません。
しかしこれを手抜きして、ハンドルの振れの原因になりかねないフロントタイヤのみホイールバランス調整したり、最悪ホイールバランス調整をしないなどの手抜きが行われることがあります。
タイヤ交換の組み換え中、タイヤローテーション中など、何かしらのハプニングでホイールにキズを付けてしまった場合、そのタイヤ・ホイールは必ず運転席から遠い「左側」、そして「後ろ側」に取り付けられることが多いです。
このような失敗を報告しない手抜きが行われることがあるので、高いアルミホイールなどを取り付けているドライバーは、タイヤ作業後には「左後輪」のホイールを調べてみると手抜きを発見できるかもしれません。
上記の手抜き整備が行われたとしても、ホイールバランス調整の料金は4本分請求されます。