車検(24ヶ月法定点検)では、今までの定期点検等にはなかった
ブレーキフルード交換があります。
基本的な
ブレーキフルード交換は、リザーブタンク内にある古いブレーキフルードを吸い取った後、新品のブレーキフルードを入れながら前後左右4つのブレーキから、「ブレーキパイプ」や「ブレーキホース」に残った古いブレーキフルードを抜き取ります。
この時ブレーキシステム内にできた「エアー(気泡)」も一緒に取り除くことができます。
<ブレーキフルード交換での手抜き整備>
ブレーキフルードを見た目だけも交換したように見せるため、リザーブタンク内のブレーキフルードを抜き替えるだけで終了。
これだけではまったくもってブレーキフルード交換となっていません。
リアブレーキがドラム式ブレーキだった場合、制動力(ブレーキ力)が必要な(気泡が発生しやすい)フロントブレーキのブレーキフルードを交換し、リアドラムブレーキはドラムブレーキ内のアジャスターで張りを調整するだけで終了します。
しかし車検にはブレーキ(制動力)テストがあり、上記の手抜きでブレーキ力が足りなかった場合には、こっそり
サイドブレーキを引いてワイヤーの力をプラスしてブレーキテストをパスします。
このような方法でブレーキテストをパスしてもブレーキング時のバランスが悪くなるため、
フロントブレーキパッドの減りが早くなってしまいます。
ブレーキフルードのリザーブタンク内は仕切り板で2つに分かれているのですが、これは前後で分かれているのではなく「左右」、しかも×印を作るように「クロス」するように分かれています。
前後に分けていると、主な制動力(ブレーキ力)を確保しているフロント側に漏れが発生した場合、ブレーキ力が一気に下がってしまうのを防いでいます。
左右に分けていると、片側が漏れた場合に制動力(ブレーキ力)が左右に偏って危険になるのを防いでいます。
そのためブレーキの配管は×印を作るようにクロスして分けているのですが、片側(右側なら右側前後)の古いブレーキフルードだけを抜き取り、リザーブタンク内を綺麗に見えるよう(手抜きがばれないよう)にしているのです。
これはブレーキフルードのリザーブタンクが2つに仕切られているため、仕切り板が邪魔をし上からでは完全に古いブレーキフルード抜き取ることができないので、リザーブタンク内の仕切り板に邪魔され残った、前後の古いブレーキフルードを抜き取るだけの手法です。
その他さまざまな方法で「検査員」や「客の目」を誤魔化し車検には通すことができますが、古いブレーキフルードが残ることによる「制動力(ブレーキ力)の低下」、「ブレーキキャリパーや
ホイールシリンダーの固着」など、車やドライバーにとって不都合なことが起こりうる可能性が高くなります。
(余談※1)
(注意※1)