ワイパーゴムを自動車ディーラーやカー用品店で交換する場合、
自動車整備士はその車種に合ったワイパーゴムを選び交換します。
しかし在庫に車種に合ったワイパーゴムがない、またはワイパーブレードを社外品に交換していると、在庫しているワイパーゴムが社外品のワイパーブレードの規格に合わないことがあります。
<ワイパーゴムの構造>
ワイパーゴムにはゴムの支柱として長い薄板(バッキング)が運転席側と助手席側、左右に2枚づつ入っています。
ワイパーゴム交換の際はこの支柱を再使用し、ゴムのみ、ワイパーゴムのみを交換します。
気づきにくいのですが実はこの2枚の薄板、微妙に「彎曲」しています。
彎曲している理由は、フロントガラスとの接地力を強くし水捌けを良くするためと聞いています。
そして2枚の彎曲、運転席側と助手席側とでは彎曲の方向が異なります。
<ワイパーゴム交換での手抜き整備>
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在庫に車に合ったワイパーゴムがない場合、取り付けてあるワイパーブレードの「規格に合う長めのワイパーゴム」を選び、それを「切ることで長さを調整」し取り付けることがあります。
ワイパーブレードとワイパーゴムとの規格は同じなのでそれほど大きな支障はありませんが、気づいてしまうと切り口が目立ち見た目がよくありません。
ワイパーゴムを動かした時の「ビビリ音」の原因になることもあります。
ワイパーゴムの支柱である薄い2枚の長板(バッキング)が切断によってストッパーがなくなり、ワイパー作動時の遠心力により飛び出してくることもあります。
在庫に規格が合うワイパーゴムがない場合、「同じ長さのワイパーゴム」を選びワイパーブレードに「無理やり」ワイパーゴムを取り付けます。
ワイパーブレードとの規格が合っていないのでワイパーゴムを固定できません。
そのため無理やり固定しようと、ワイパーブレードの合い口を過締め(縮め固定すること)ワイパーゴムを固定します。
過締めるのに工具を使用するので、ワイパーブレードの塗装が剥がれることもあります。
過締めることでワイパーブレード合い口隙間が縮むので、次に規格に合ったワイパーゴムを取り付ける時にうまい具合に取り付けることが出来ません。
次の交換時に合い口を広げ調整する必要があるが、開け閉めを繰り返すことで合い口が弱くなります。
ワイパーゴム内の薄板(バッキング)が片側左右に2枚ということでワイパーゴムを取り外した際に混ざってしまい、初期方向がわからなくなることもあります。
彎曲していることすら知らない整備士が方向を気にせず(気づかず)取り付ければ、水捌けが悪くなることもあれば、ワイパーゴムのビビリ音の原因になることもあります。