バルブとは、
インテーク(IN)からシリンダー、
エキゾースト(EX)へと流れる空気の開閉をシリンダーヘッド内で行いつつ、圧力を作り出す空間をも作っています。
「上部」 = 「バルブステムエンド」
「下部」 = 「バルブヘッド」
「赤」 = 「バルブフェース」
「青」 = 「バルブステム」
<構造>
バルブは「IN側」の方が、「EX側」より大きく作られています。
ピストンの横、
シリンダーブロック内にバルブとカムシャフトが駆動しています。
シリンダーブロック内にカムシャフトがあり、プッシュロッドを介してシリンダーヘッドのロッカーアームにバルブタイミングを伝え、バルブが開閉しています。
SOHV(シングルオーバーヘッドカムシャフト)ともいわれ、シリンダーヘッドにカムシャフトがあり、直接ロッカーアームを動かし、バルブに開閉タイミングを伝えています。
OHV同様、シリンダーヘッドにカムシャフトがり、更にIN用、EX用にカムシャフトがあることからDOHVといいます。
またカムシャフトが2個あることからロッカーアームの必要がなく、カムシャフトが直接バルブの開閉を行っています。
<バルブクリアランス>
バルブとロッカーアーム、またはカムシャフトの間には一定のバルブクリアランスが設けてあります。
これは鉄の熱膨張を考慮しており、クリアランスがまったくないと、各部品が熱膨張により膨らんでしまうことでバルブを押し下げ、圧縮圧力などが抜ける原因になるからです。
バルブクリアランス「小」 = 「バルブを押し下げ半開」
バルブクリアランス「大」 = 「開弁時間が短い」「騒音、打音が大きくなる」
バルブクリアランスをハイドロリックバルブリフターを使用し、常にゼロの状態に調整します。
リフター内に
エンジンオイルが送られ、リフター内のチェックボールによる開閉によって硬度を発生させ、内部のスプリングによってクリアランスをゼロにします。
現在の
エンジンでは主流なので、エンジンオーバーホールの際にバルブクリアランスを調整する必要がなくなりました。
<バルブシート>
バルブのバルブフェース(赤い部分)があたる部分で、シリンダーヘッド側にあります。
「気密」と「バルブの冷却」を行っています。
当たり幅が「広い」と、「放熱性向上」
当たり幅が「狭い」と、「気密性向上」します。
<バルブスプリング>
カムシャフトのタイミングに合わせてバルブを押し下げた後、バルブを押し上げるのがバルブスプリングであり、シリンダー内の気密性を保ち、向上させるのもバルブスプリングです。
「耐熱バネ鋼」を使用しており、共振による異常振動を防止するために「不等ピッチスプリング」や「複式スプリング」を使用しています。
バルブ開閉のスピードが上がることによってスプリングが共振を起こし、振動によってバルブスプリングの動きが鈍くなります。
最終的には、カムシャフトとのタイミングが合わなくなります。
この現象を、「バルブサージング」といいます。
バルブサージングを防止するために、バルブの巻きを均等なピッチにするわけではなく不等ピッチにし、ピッチの狭い方を下側(シリンダーブロック側)にして、バルブサージングを防止しています。
バルブスプリングを2個使用しており、内側と外側に使用しているスプリングの巻き方を逆に設置することによって、スプリング同士の噛み込みを防止しつつ、バルブサージングを防止しています。
バルブスプリングを円すい状にして、共振を抑えています。